変化する日常
「うち、先に言う」
カイの頭を撫でながら、由香里が言う。
「じゅんおっちゃん、うち、感じとった。じゅんおっちゃんが、松風号と白虎号の交配をさす言うた時から、じゅんおっちゃんが再び競翔の世界に戻って来るような気しとった。うちは誰にもこの事は言うて無いし、2羽の仔鳩が授かるん違うかな・・と感じた時も黙っとった。うちな、松風号の眼の奥に潜んどる凄い大きい・・ほんで怖いもんを感じた。白虎号は、激しい気性で強い子・・そやきんど、この子は不器用な程真っ直ぐ。この閃竜号と、輝竜号は一緒に飼うたらいかんような気もしとった。うちは、そう感じた」
沢木は黙って頷いたが、返事はしなかった。洋司が続いて言う。
「わしも由香里と似たような気持ちですわ。わしは、川滝さんの大事な鳩を預かっとりますきん、この血を守り育てる事が使命じゃと思っとります。正直、この閃竜号は今のわし等では、どう競翔させたらええんか、分からんです。わし等やっと競翔の入り口に立っとる者ですきんな、皆さんがどう評価してくれとっても、右も左も実際分からんのですわ。じゅんさんは、自分の思うようにやりゃええんじゃ言うてくれよるきん、その通りやっとるだけですきん・・」




