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変化する日常
環が言う。
「ほれでな、親父、鳩飼う言うたんは。昔っからがいがい言う親父やきんど、涙脆いきんな、香月博士の涙にやられたんじゃな、ふふ」
「茶かすなや、環・・はは」
環が見事に場をとりもった。洋司、由香里の不安の気持ちを感じていた環が、その場を明るく変えている。
沢木は、屋上の鳩舎に案内する前に、もう一言・・と、付け加えた。それは、これまで、断片的にしか自分の考えを披露して来なかった彼には無かった丁寧な言葉だった。佐々木親子の一番不安を抱えている事、閃竜号についての沢木の思いを告げたのである。




