変化する日常
前日金曜日の晩に、松本からその件については、洋司の所に電話が入っていた。
松本から鳩時計を受け取った足で、由香里を連れて洋司は沢木の事務所に向かった。
心地よい風が吹く午後だった。にこやかな顔で沢木が出迎える。事務所に入った途端由香里が声を上げた。
「うわ・・じゅんおっちゃん、ここ明るうて、温こうて・・めちゃええ感じ・・」
「ほほ・・そなん言うて貰えると、わしも嬉しいがい。お客さんの立場でどう感じるんかが一番大事な要素やきんの。さあ、ゆっくり座ってくれや。茶でも出すわ」
沢木が勧めるままにテーブルに着くと、環が奥から出て来た。
「あっ!環姉ちゃん!」
環が笑いながら、
「ふふ・・由香里が来る言うの聞いとったきんな、丁度今日、明日休みやきん親父のとこの整理を手伝いに来たんよ」
洋司が笑う。
「何時もながらに思うこっちゃきんど、じゅんさんは、電光石火の早業じゃねえ。ここは元ケーキ屋さんじゃったわな」
「おう、結構評判良かった店での・・ほやきんど、もう主人も年じゃ、前々からここの話は出とったんよ。賃借りにして貰うた。その方がお互い都合もええ。ほんでの、この裏は田畑になっとんよ。誠に都合がええし、すぐ海に視界が開けとる。まずは事務所もそうじゃきんど、鳩舎を設置するんは申し分が無かった訳よ、ははは」




