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変化する日常
「わはは」
手土産を一杯抱えて沢木が現れた。途端に笑い声が満ちる。その存在こそ、若い釣り人が今なお慕う沢木と言う人物なのである。
「じゅんさん、何時こっち戻って来たんな?」
洋司が尋ねる。
「一昨日の晩じゃ、突然戻んたちゅうて、嫁はんが、慌てる、慌てる。仕度もなんちゃ出来て無いちゅうての。そななん、わしは何時ものこっちゃわ。連絡もせんきんの」
「はは」
洋司が笑う。
八重子が、
「じゅんさん、長い事お疲れ様でした。」
沢木が、
「おう・・これよ。の?うちの奴はこなな言葉いっちょも言うてくれん。八重ちゃんにそう言われたら、たまらん位嬉しいで。おおきに。ははは」




