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変化する日常
「・・分速・・2000メートルは超えとん違うな?お父ん・・」
「おう。そうじゃのう・・」
親娘の会話は、続かなかった。後続が戻って来たのは、午前11時を回っていた。昨秋の2羽、そして川滝系の2羽が前後して戻った、打刻はしなかった。全鳩帰還・・。とりからの電話が鳴ったのは、午後12時頃。やはり11時頃がピークだそうで、団子状態で、高分速のレースだったと言う伝達だ。閃竜号10時帰舎・・その報告はとりに出来なかった。とりは、あちこちに連絡をせねばならないから、慌てて電話を切ったからである。とりには、ゆっくり皆の情報分析をするゆとりなど、今は無い。松本から続いて電話が入る。松本は既に感じていたようだ。
「洋司君、西から戻んたろが?閃竜号が優勝じゃ・・何時じゃ?」
確定したかのように、松本は言う。何故?そう思いながら洋司は答える。
「10時じゃきんど・あの・・」
松本が、洋司に時間があれば、早めに来てくれと言う。洋司は慌てて昼食を食べると、鳩時計を持って松本宅へ・・そこで、この500キロレースの理由を、初めて洋司は知らされる事になるのだった。




