変化する日常
「わしはの、じゅん。30年前と、今は違う。佐川君の夜風系がその本流を名乗るんなら、わしは、自分の命と引き換えても、この天魔号系を、自分の手で夜風系として育てて見せる。鎌足さんのこの血は無敵じゃ。お前なんぞに負けるか。鳩はの、松露号だけと違うんじゃ、松敏号、松剣号も居る。閃竜号、輝竜号とは同じ血も流れとるわい」
その言葉に沢木は、
「おいやん、有難うな。連合会を見回しても、今この2羽に競える鳩は居らん。ほやきん、おいやんに頼むしか無い。わしはやるからには手を抜かん。心血を注いでも半端せんきんな」
「おお、分かっとるわ。わしやってこの道40年じゃ、お前のデータに無いブランクの間も培って来たもんがある」
何を言いたかったのか・・それは松本には良く分かった。沢木の競翔はもう復活しているのだ。既に。その沢木は、連合会の若手の底上げを既に期待し、アドバイスを送り、その試みを進行させている。もっともっとレベルアップを望んでいるのだ。
で、無ければ、この2羽には追いつけないぞ・・そう言っているのだ。しかし・・全国杯の可能性ある分速・・その言葉には松本もぞっと背筋が寒くなったのだった。
その夜・・松本は感じた。加藤、ヤマチュー達の顔が一段と変化している事に。その見えない連合会の動きが手に取るように分かった。




