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変化する日常
「おう・・どなんした、こなん早うに」
「おいやん、明日は高分速のレースじゃ、恐らく。郵政大臣杯・とれるやも知れんの」
朝っぱらから何と言う事を言う男ぞ・・松本は笑った。しかし、ぞっと背筋が寒くなった。
「こら・・じゅん。寒気がするような予測すなや。ええか、世の中にゃのう、人間の思うようにならん事も一杯あるんじゃわ。そやきん、期待やら、夢やら持てるん違うか?お前のデータがそう予測しとんなら、それでもええ。そやきんど、映画を観る前から解説しよる愚か者は居らんぞ、分かろうが?わしの言う事・・」
その言葉に、少し沢木の言葉は重くなる。
「分かっとる・・おいやんにしか言うて無いきんな・・ほやきん、頼むわ。おいやん、わしを止めてつか・・わしは・・わしは・・」
はっと、松本は思った。何と次には情けない声を出すんぞ・・沢木は。そうか・・すずらん号の幻影が、再びこの男を苦しめ始めたのか・・これが沢木なのだ・。松本は思った。




