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運命の扉
「・・君は初霜号系を捨て駒に・・?潰されるかも知れないんだよ、その閃竜号に」
香月は頷いた。しかし・・
「沢木さんはきっとそうさせません。信じられるからお預けするのです」
「でも、預ける理由が・・・・あ・・そうか!そうなのか?香月君!」
こくんと香月は頷いた。そこまでの配慮?環には何も分からなかった。しかし、それこそが、香月も又沢木と共に、再び紫竜号を使翔すると言う決意なのだとは、誰もが予想だにしなかったのである。沢木も香月も、その脳裏には、これまでの競翔を一変させるような驚天動地な考えを巡らせていたのであった。ただ一人、このもう一人の天才競翔家と呼ばれる磯川だけが、その方向性に気づいたのであった。
そして、環と磯川、香月の偶然的出会いがあり、沢木、新川、川上、羽崎の接点も同時に起こっていた。奇跡が幾つもに枝分かれする無限の境地の糸を、急速に手繰り寄せようとしている。何が起きるのか、何を彼らは起こそうとしているのか、それは分からない。しかし、確実に今動いていた。500キロレースはもう5日後に迫っているこの夜も・・




