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運命の扉

「はい。磯川さん、そのルーツこそ、私が追い求める勢山系源鳩すみれ号DNA・・更に源鳩にあたる不世出の競翔鳩すずらん号なのです。その使翔者こそ沢木さんなんです」


 やっと、繋がった。環は思った。香月と父沢木の強い接点がそこにあった。磯川も何かをそこに感じ、納得したのであった。


「すみれ号源流系譜か・・それは、俺も興味があったが、すずらん号・・ほう・・」


 磯川は、大きく溜息をつくように息を吐いた。


「そのルーツは、新川さんに始まります。元々関西で古くから使翔されていた勢山系の系統で、沢木さんがその新川さんから、借りた形で改良を加えられたんですね。その中から突出した鳩が、すずらん号と言う競翔鳩だったのです。そして、不運にも放鳩車が追突され、海に転落。殆どその放鳩車の鳩達が絶命した中に、これから華開くであろう、すずらん号が居た訳です。沢木さんは、我が身を削る程悲しまれ、そして、3羽残った仔鳩を新川さんに戻され、競翔界を去られた。私は自分の事のように、先日お会いした時も、心が痛みました」

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