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運命の扉
「・・・君にそこまで言わせる方って・・沢木さんてどう言う人なの?」
磯川が聞く。
「夜風系を確立された、四国の鎌足さんが、唯一天才競翔家だと認められていた方です。そして、私も天才競翔家だと思いますし、又競翔だけには留まらない多彩な分野も天才的な方でしょうね」
環は、自分の父親が、それ程この名高い博士に認められている事を嬉しく思い、そして誇りにも感じ、少し胸が熱くなった。
「ほう・・どんな方なのだろう・・一度お会いして見たいものだ。じゃあ、君は委託してこれから初霜号系の改良をお願いする訳かい?」
「いえ、沢木さんとは、2年の期間だけ預かると言うお約束を交わしています。その2年で、稚内1400キロ翌日帰りが出来る鳩を養成して頂きたいのです。その後、その鳩の一羽でも残れば、初霜号系の固定化基礎種鳩に致します」
「くくく・・そこまで考えているんだ、君って。じゃあ、そこまでやれる競翔家なら、白虎号の子鳩の委託って、それも意味を持ってるんだね?」




