運命の扉
「ああ、勿論さ。清竜号と言う突出した鳩も出現している。超長距離系だよね」
「対して、よりスピードを求める形になると思いますが、中・長距離を飛翔するべき体躯の系統が初霜号系なのです」
「じゃあ・・何故四国へ?中距離なら、関東・関西と考えるが・・」
「少し違います。私が求める中・長距離とは、800キロ~1500キロを含みますので」
「何と・・なら日本中の殆ど含まれるじゃないか、それなら」
磯川が眼を丸くしている。
「1400キロ、1500キロと言う距離を、当日・翌日戻れる血統にしたいんです。それには、スピードが要求されますよね」
「ははあ・・少し分かった。例えば、君が使翔していた白川博士のシューマン系を基流とするのが初霜号系・・早熟で、分速2000メートルも出す力を擁した鳩を、四国と言う地区でテストしたい・・と?」
環も、磯川の推察に思わず納得して頷いた。
「そうです・・初霜号系は、シューマン系の血が強く出ています。と、言うよりシューマン系は非常に強いDNAを持ってまして、数世代位の交配ではこの血は優勢ですので。ですので、分離したのです。そして、今この血を見極め、現実に使翔して方向性を見出せて頂ける方・・そんな競翔家は只一人しか居られませんでした」




