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運命の扉

「承知している・・しかし、東京大学であるとか、そこから移送されて当病院で治療は出来る筈。それには、カルテも必要だろう、そう言う知識や技量を民間でも養いたいじゃないか」

「ご尤も。だからこそ土壌が必要なのです。時間が必要なのですよ。国立大学とのネットワークも結ばれていない現状では、そこまでは・・」

「学閥って、本当に嫌なものだね。全てを妨げる」


 磯川は顔を曇らせた。


「ですね・・それがあるから日本の医療は遅れているのですよ。医療費も安い・言われている事は同感です。私ももっと違う形を模索中ですが・・あ・・丁度良い所にここに環さんが居られる。どうでしょう?環さんのお身内同然である娘さんの手術を、愛媛大学で行ないます。その後の経過で、この環さんが働いて居られる病院に委託出来るようにしましょうか。ね?環さん、理学療法士さんである貴女は、由香里さんに力になりたいと願って居られますし、貴女のような患者にとって最適で、優秀な理学療法士さんは他に居ませんから・・どうです?磯川さん、貴方の所でもこう言うケースを考えられたら?その為に、老人医療に力を入れて居られ、又S工大の掛川教授を院長として迎えられているのでしょう?なら、話は出来ますよ」

「おう・・やっぱり。貴女・・この環さんと言われるのか、こう言うご縁があったんだ。」


 磯川は目を輝かせた。

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