運命の扉
すっかり磯川は、環と打ち解けて笑顔になっている。珍しい事だ・・香月はこんな自然な笑顔で女性と対する磯川を初めて見た。それは、環も又父親譲りで天性である、人の心を柔らかくするような、表裏の無い天真爛漫な性格だからだろうと思った。
「どうしたの?さっきからにこにこして黙っているけど」
磯川が香月に言うと、
「はは、何でですかね、それは貴方達がすっかり初対面なのに、打ち解けられて話されているからかな?多分」
「あ・・はは・・そうだね、ふふ。あ、そうだ、忙しい君に折角出会えた時間を大事にしなきゃ。君は沢木さんと知り合いだと言う事だけど・・」
「はい。構わないですよ、沢木さんなら身内同然。別室に行きましょう」
香月が立ちあがり、手を広げ差し出す方向に2人は案内された。どんな話が?環は少し興味を持った。4人掛けのテーブルがあった。そこへ窓際に香月が。両脇に磯川、環が座った。
香月がすぐ、
「単刀直入に言いましょう。磯川さん、貴方の総合病院には委託出来ません。民間に委託するには、まだまだ多くのプロセスを辿らないとなりません。その土壌が整って無いからです」




