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再会
「その翠波号血筋が、関東に行っとる。一番の飛び筋で、黒翔号ちゅう系統じゃ。お前は、朝夜が明けた時から、夕方まで手弁当まで持って、よう鎌足さんの鳩小屋にしがみついて見とったわのう、あの偏屈の鎌足さんでさえ、沢木見たいな、おかしげな奴は見た事が無いゆうとった。ははは」
「よう、怒られましたわ、いね、いね(帰れの意)お前が、鳩小屋一日中覗き込むきん、鳩が怯えてあかんわいゆうて」
「そのお前が一番、夜風系については、詳しいじゃろが。東予連合会最強鳩舎の鳩をじっくり研究・観察しとった者として、どない思うぞ?鎌足さんはのう、天才動物学者の香月博士と初対面の時に、沢木とそっくりな眼した、若者じゃったと言うとった。そやきん、夜風系の改良をその博士に託したんじゃ。こまかい事は言わん、沢木、いや・・天才とお前も言われよった競翔家やきん、この中で2羽改良の血が入った鳩が居る、当てて見い。ほれにな・・全く競翔素人の由香里ちゃんは、見事言い当てよったんじゃ。わしは、これが、単なる偶然とは思えんのじゃ。お前との再会も含めてな」




