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再会
しばらくして、八重子が食卓に戻って来る。それは、短時間で作ったにしては、見事な料理であった。
「おう・・これは、見事じゃ」
チヌの半身を3枚に下ろし、刺身に取り、残りの半身は煮付けにしていた。
健治が眺めながら言う。
「それにしても、奥さん・・見事なお手前じゃねえ・・あの、初対面のわしが、食卓に厚かましくお邪魔させて貰うとるだけでも恐縮じゃのに、こなん事聞くのは失礼なんじゃけど、とても素人とは思えんのじゃけど・・」
八重子はにこっと笑う。
「私ね、この人(洋司)と一緒になる前は、小料理屋しよったんですよ」
「え?店を?道理で・・」
健治が納得したように、頷く。




