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再会
勘の滅法強い沢木に、見事に心中を看破されて、洋司は、又沢木を直立不動で見送った。沢木の存在が、洋司にとって又大きなものになって行く。そして、三島親子との付き合いも・・
洋司が、三島親子にチヌ(黒鯛)を見せる。由香里が、勇次の手を取りその大きさを確認させた。
「凄い、大きい!」
勇次が言うと、健治も、
「こりゃあ、凄い。今来られた方が、これを?」
「ええ。わしのお師匠さんですわ。もう、7、8年もご無沙汰しとって、今日偶然にあの波止場で会うて、三島さんが、来られる前に、場所譲ってくれたん、その人なんですわ。チヌ釣り名人言われとったです。わしが、入会しとった、チヌ釣り倶楽部の元会長さんやきん」
洋司が、懐かしそうに、そして嬉しそうに言うので、健治も洋司とは特別な関係であった事を悟った。
「・・ほうですか・・」
八重子が、すぐ料理をすると、台所に立った。再び食卓は今日の釣りの話題の花が咲く。




