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緩やかな変化
戸惑いが由香里の眼に走った。それは、とりもヤマチューも感じた。
「かーおいちゃんが言うてくれた。思うようにやりゃええって。その先は鳩が教えてくれる言よったきん・・うち、未だ本当の競翔の怖さも、厳しさも、何も分からん。じゅんおっちゃんも競翔っちゃ、追求すりゃする程奥があって深いとも言うとった。そやきんど、この前環姉ちゃんが、じゅんおっちゃんの座右の銘やと言よったんやきんど・・人間は追い込まれりゃ、追い込まれる程そこから何かを生み出す事が出来る。それが、自分の深層心理・・本当の実力や、才能なんじゃと。そやきん、よう自分なりに考えて見て、うちが今出来る事はちゃんと、一羽一羽の性格や、体調を見てやる事。それを疎かにせん事が大事じゃと思うんよ。それしか今は言えんきん・・」
松本がにこっとその時笑った。さっきまでの無表情な顔が一変した。




