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再会

「なら、一緒に晩ご飯どうです?、電話だったら、ここにあります。わしの車には、車用電話がついとりますきん」

「え・・でも」

「ええじゃ無いですか、今日の釣果は勇次君と由香里との一緒のもんじゃきん、今からなら奥さんも晩御飯の支度せんでかまわんでしょう?」


 健治が躊躇する間も無く、洋司は電話を渡した。この釣りを一緒に父子達でやっている最中に、互いの気持ちが同調するように、そして2人の子供達が、見事な連携で姉弟のように仲良くなっていたのを、洋司達は感じていた。だからこそ、ここでお別れするより、もっと緊密な付き合いが出来るのでは・・そんな事を洋司は思ったのだった。

 幾分年下である、健治も、洋司の人間的おおらかさや、親近感ある応対に、結局この日の晩ご飯を一緒にする事になった。八重子の歓迎は言うまでも無い。それは、父娘の関係修復と同時に、家族の絆が繋がった喜びであった。障害と言う言葉は好きでは無い。ただ、一つの感覚が不自由であるが為に、社会的な制約と言うものに縛られる事を、八重子は特に嫌った。その抵抗をすればする程、感じる孤独感。しかし、常に前を向いて生きて行く。そう決めた日から、八重子は泣いてばかり居る母親では無かった。

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