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再会
「何ちゃ、こた無いですきん、三島さん。わしは佐々木洋司言います。子供さんに是非、釣りの楽しみを感じて貰えたら嬉しいですきんな、はは」
「有難う御座います。でも、微笑ましい父娘さんですね、良く釣りには?」
「あ・・実は、娘が事故におうてから・・・もう7年振りになるかいねえ・」
「そうですか・・」
少し、そこで会話が途切れた。双方の胸に去来する様々で複雑な思いはあろう・・それを簡単な言葉で言い表す事は出来なかった・・。
三島が、少し間を空けた後言う。
「わしね、勇次が盲学校に行くのを反対したんですわ・・」
「・・ほうですか・・」
「そやきんど、この田舎では、福祉も充実しとりませんし、設備も少ないですきん、そんならわし等も松山へ引越しとも思いました」
「・・・・」
洋司には答える言葉が無かった。




