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最終章 追憶・回顧

 もう生死が少しは理解出来る年(小学1年生)になった加奈が、棺にしがみつき号泣した。沢木には、本当に大事にして貰った加奈。実の祖父以上の愛情を注がれても来た。その幼い心にも伝わる沢木の愛情は、この娘にとって掛け値の無い純粋無垢な悲しみであり、思わず周囲もすすり泣き。丹生久美子は、父の面影を重ねるその暖かく大きな人柄に深く感謝しながらも、ずっと嗚咽したままだった。沢木は惜しまれながら、実に多くの者に慕われながら、逝ったのだ。

 環は、長男、妻鳥 らんを抱きながら、生前に、父親にこの孫を抱かせてあげられた。その親孝行は適った。そして、今からこの子を立派に育てる事を誓ったのだった。この子こそ、大きなグループの未来を託すべき人物に育って行く。

 又、未優のお腹にも子が宿っていた。

 沢木グループの中核となる、素晴らしい才能を有した、この子も成長を遂げて行く。

 その名前は、未優の、下の字を取って、三木 いさむと名付けられる。

 沢木の苗字こそ、二人の孫に受け継ぐ事は無かったが、しかし、その血脈は次代へと受け継がれて行くのであった。

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