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最終章 追憶・回顧
堪えきれず、二人は嗚咽した。由香里が入って来た。もう様子は理解出来ている。彼女は、倒れるようにベッドに。幸せ一杯で祝福され、新婚旅行に旅立ったその姿は、余りにもその極端な展開の衝撃の中で、立っているのさえやっとで、その顔は、涙でぐしゃぐしゃになっている。
「嫌じゃ、嫌じゃ!、うちは、じゅんおっちゃんと、もっと一緒に仕事したい、嫌じゃあ!いやあ・・」
ヤマチューが支えた・・沢木の息が上った・・苦しそうな顔・・しかし、それでも
「泣くんで無い・・ほら・・別嬪さんが・・台無しじゃあ・・ほんでも、そろそろ逝かないかん見たいじゃ・・道夫・・何時でも交代出来る用意しとる・・オーナーを頼む・・環・・未優・・その補佐を・・」
「じゅんさん!」
洋司が叫ぶ・・
それだけ言うと、沢木は昏睡状態に入り・・その未明、二度とその眼を開ける事は無く、逝った。




