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最終章その3 鳩達の潜在意識

 数日後のある朝・・

 洗面所に小走りに走る環・・


「おい・・どしたんや?環・・」


 とりが言うと、


「あ・・ひょっとして・」


 母親が何かを感じた・・

 億千万幾月幾日の陽の出、やがて静かに帳を下ろす日没。満天の果てしない空に輝く、幾兆の銀河。その衛星たる星々よ。この無限の天空の中で、塵程の大きさにも満たぬ命であれど、地が割く灼熱のマグマも、空を覆う暗雲も、そして、地を揺るがす轟音も、一瞬の時さえもそこへ留まる事を許さぬ剛風も・・荒れ狂う波浪とても、我らの命の炎を消す事等適わぬ。見よ、慈悲の心は何者にも不動であり、あまねく分け隔て無く誠ある者達に、降り注がれん事を・・。


 春・・GNレースに参加された3羽を待つ運命は・・


 由香里は笑顔で2羽を長い間抱いて、その体を愛しく何度も愛撫した後、鳩舎から送り出した。松本も、同じく、長い時間松竜号を触診した。


「何も望まん・・無事に帰って来いや、の?松・・」


 松本はそう言った。言葉等伝わる事等無い鳩に・・しかし、鳩達にはその優しく、心落ち着く主人の、手の平の温もりは感じていた。


                  

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