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最終章その3 鳩達の潜在意識
この瞬間を持って、沢木は、由香里が真に一人立ち出来たと思った。彼もこの日は早々に帰って行った。洋司もこの日の出来事を聞き、深く頷くのであった。
この間に、既に春レース500キロは終了していた。松本が優勝を飾っている。カッパ号が3位に食い込んだ。
再び松本鳩舎、次のレースにエントリーされている松竜号が、胸を張っている。
「ぐうっ!」
その力強い咆哮に似た喉を鳴らした松竜号は、周囲の鳩をびくっとさせた。
その後、鳩舎に入って来た松本が松竜号を触る。
「ちいと太ったか。まあ、ええ。こん位体力が無けりゃのう」




