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最終章その3 鳩達の潜在意識
振り絞るような嗚咽は、この男に善性を見た。八重子は、
「顔を上げてつか・・もう過ぎた事ですきん。由香里を呼びます。これは、多分そう言うお導きだったんじゃね。昨日の由香里の事・・」
「え・・?」
顔を上げた男性だった。
ほどなく由香里が降りて来る。畳に再び頭を擦り付けて詫びる男。由香里は、
「顔・・上げてつか。うち、見て下さい。今のうち見て貰うたら、きっと貴方の心の重荷が取れると思います。うちも今、やっと重たいもんが取れた気がするきんね」
ぼろぼろ涙を零しながら、顔を上げた男性の目に映ったものは・・
「どうですか?うちは、自分の足で、今立っとります。1年半ちょっと前まで車椅子でしたきんど」




