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最終章その3 鳩達の潜在意識
一方、輝竜号は必ずしもそうは見て居なかった。何かは分からぬが、不安要素が急速に増している。つまり、輝竜号にとって他鳩等は全く眼中になく、目の前の不安を解消するべくあれ程嫌っていた筈の閃竜号と、擬似番のような関係に至るまでのプロセスを反復していたのであった。閃竜号の存在とは何か、それは今我が身に置き換えて切り離してはならない存在になっていたのだった。気力・体力・全てに恵まれたこの身が、不安要素等全く無いこれまでの中で、これ程不安を掻き立てる要因とは何か、輝竜号は意識の中で、今混濁していた。
そして閃竜号・・ただただ、本能の中で激しい闘志と燃え上る気力と、自由であった姿態でこれまで空を飛び続けて来たのである。だが、思うようにならぬ今の自分が歯がゆくて仕方が無かった。知らぬ間に、兄弟の輝竜号の常に右隣に存在する自分が居た。分からぬ・・それは自然にそうなったのである。




