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競翔家の一歩へ
「何ちゅうか、じゅんは、過去のデータを全部頭に入れとるんですわ。ありゃあ、学校では勉強は好かんかったらしいきんど、過去のレース全ての順位や、個々の鳩の分速まで頭に入っとりますきんな」
「へぇー・・・」
とりが眼を丸くしている。
「あ・・じゅんおっちゃんも自分で頭を指して、ここよと言うとった。きゃは・・」
由香里が笑う。
「特殊な能力よなあ、川滝さん」
松本が言うと、川滝も、
「ほうよ。誰っちゃ、真似出きん。鳩の動きまで覚えとる」
洋司が、
「そうなんですわ・・釣りやっとっても魚の動きまで見えとる見たいに、こっちで竿出しとったか思うたら、今度は全然撒き餌の効いとらんあっちの方で魚を掛けよるし、バンバン釣れとんのに、ぴたっと釣り止めて、ここにもう居らん言うて、場所移動するんですわ。ほんまにじゅんさんの特異な能力は充分わしも知っとりますきん」




