再会
「ええんじゃ、ええんじゃ。父娘と久し振りに釣りに来た・・その邪魔はしとうない・ほれにな、よおちゃん。こなんとこでゆうきんど、わしが以前、ここで55(センチ)のチヌ釣ったちゅうても、又、どこかのアホがそななん嘘じゃあ、ゆうやろが?今日はええ潮じゃ。チヌは無理かも知れんけど、カレイなら釣れるかも知れん。わしもの、腰が痛うて、最近は釣りの遠征も出来んようになった。ほれに、ああじゃ、こうじゃと、コスイ奴が抜け駆けしたり、要らん噂流したり・・もう会を組織するんは、こりごりなんじゃ。よおちゃんと一緒にチヌ釣りしとった時が一番楽しかったわ。ほんでの、最近は釣りより石の方が面白うなっての、仲間と釣りの時と同じように出掛けとる。まあ・・こっちの世界も一緒じゃあ・・自分の場所は徹底して秘密にするくせに、人の情報には聞き耳立てて、抜け駆けはするわ、ゴミは放置しとるまま・・根こそぎ採って来にゃあ、満足出来ん人間がようけ居る。所詮、人間の欲ゆうのは、キリが無いちゅうこっちゃ。きんどえらそうに、人に講釈たれれる人間でもわしゃあ、無いきん、自分の思うがまま、今は楽しいにやっとるよ」
「ほうですか・・」




