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周囲のざわめき
「頑張ってや、とり兄。うちも出来るだけの応援するきんな」
「お・・おう!有難うな・・由香里ちゃん」
「うちは妹じゃきんな、ふふふ」
「おう・・おう!」
今度は嬉々として帰って行くとりであった。沢木は充分にとりの人間的魅力や、スケールの大きい才能を見抜いていた。だからこそ、もっと前面に出て来いと叱咤激励したのである。
「ふふ・・由香里ちゃん・」
沢木が、少し二人から離れた木陰でその会話を聞いていた。自分の意図する事が、とりに間接的ではあるが伝わった安堵感があった。人柄だけを見たら、申し分の無い男である。しかし、企業の中で見ると、それだけの地位に立つ気概や、人を押しのけて行く向上心が無い。私情と言えど、沢木は然るべき地位を与えたかったのが本音なのである。沢木はそう言う男なのだから・・。




