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孤高の気質
「何ちゃ、かまへん。そやきんど、何遍も言わんといてつか・・うちな、言うとくきんど、自分を不幸やって思うて無い。前だけ見とる。そやきん、それだけの為に来たんやったら、帰ってつか、ヒデ君」
ヒデは何も言えず、頭を下げると帰って行った。
由香里は2階の自分の部屋に戻った。
八重子も由香里の様子が気になり2階に上がったが、すすり泣く由香里の声が聞こえて来て、部屋に入る事は出来なかった。
そして、又数日が経った・・。暑い日々の中でも、仔鳩達は自由に大空を舞い、燕が前を横切る。由香里は又何時もの明るさを取り戻していた。沢木が訪ねて来る。
手土産の鰹の生ブシを持って。
「おう、わしの好物じゃ。おおきに、じゅんさん」
洋司が嬉しそうに礼を言うと、
「そやろが?わしも好きなんじゃわ、家にもようけ買うて来た。ははは」
由香里が2階から降りて来る。




