伸びる若芽
由香里が頬に涙を零した。
「うち・・知ってました。じゅんおっちゃんの気持ち。ほやきんど、うちにとっては、何時も側に居て欲しい大事な人であり、香月博士と同じように尊敬して止まない競翔家です。じゅんおっちゃん、言葉には出さんかったきんど、花山さんが屋上で、じゅんおっちゃんが帰る鳩を待ちもってぼろぼろ泣いていた姿を聞いとりました。うち・・きっとじゅんおっちゃんに、大きな負担をさせとるんじゃと思うてました」
香月も少し言葉が詰まり、涙声に。
「その負担を沢木さんに強いたのは、私です。余りに偉大な天才競翔家の姿を感じた私は、次元を超えたもっと先を見たかった。性急過ぎたのです。結果を求めようとしたのです。私の人生の中では達成出来ないかも知れない未来を・・。それが、私の人間として弱い部分でもある。又競翔家としての限界なのかも知れません。それは、沢木さんも同じでした。しかし、その一歩を躊躇された姿を見て、私はやっと眼が覚めました。お詫びするのは私なのですよ、皆さん。そして、確かめたかったその最後のものを、清治君、由香里さんは語って下さいました。有難う御座います」




