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伸びる若芽
「何・・変節した訳では無い。わしのグループじゃって、KS食研㈱本社工場受注は大きいわ。10年間の、つまり安定を手にする訳じゃきん、ほんで技術を磨く大チャンスよ。保っちゃんも、大きなステップと考えとんじゃろ?言うたら、失礼なきんど、堪えや?土建屋から建設会社として一流の地盤を築くチャンスじゃきんのう」
「・・その通りじゃ。大手にみすみすこの工事を渡すんじゃったら、甲斐田さんやって、最初からそうしとる。20億掛ける言うとるきん、半端な工事では無いわ」
そこまで話が進むと、おもむろに青木は鞄から図案を引っ張り出した。青木は、沢木の先見性や、確かな眼を深く尊敬し、友情関係もあるが、恐らく彼のずっと練り上げて来たプランなのだろう、示したのである。それは信頼関係が無ければ絶対に見せないものだ。
沢木の眼の色が変わった。それは、沢木にも意表をつくようなプランだったからだ。




