伸びる若芽
「はは・・わしも随分参考になった。何言うても、とり君、市場がメインよ。中心的な役目よな。責任は重大じゃきん、敢えてとり君に再提出求めたん違うか?ほんで、わしのおにぎり屋成功するんもせんのも、とり君に掛かっとんじゃきんの!わはは」
笑いの中に、とりが市場を任されている立場とは、とても重要なものなのだと改めて感じた。だからこそ、とりには、もっともっと考えて欲しい・・沢木はそう言ったのだ。
とりは、自身に道の駅浮沈が掛かっていると言う重大認識を改めて受けた。
それは、体力だけ、元気が売り物の彼にとっては、初めて問われる自身の経営者たる資格であった。静寂の杜の市場の経営こそは、自身の『めんどり屋』を受け継ぎ、将来に繋げる事なのだ。それも同時に問われている。環の夫として、夫婦共働きは結構な事、しかし、やがて授かる命に対して、一家を支える者としてどうなのだ?沢木が言葉に出さずとも自ずからとりにも大きな転換期が訪れていた。沢木が日頃から口にする言葉、『今はええ。ほやきんこそ、将来をどう見据えるんぞ』今を安住していて何の向上があるのか、その時に何の方策も打ち出せぬ経営者は消える。しかし、経営者であるなら、一家の大黒柱であるならば、どう従業員、家族の長として責任を持っているのか・・と。




