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伸びる若芽

 大学出の初任給が7万と言われるこの時に、由香里でさえも20万円のボーナスが入っていた。とりはその倍もあった。驚くのも無理は無いし、とりに至っては正規社員で無いのだ。霧島夫妻は二人で100万円もあった。田村は、今田村ファームの社長を兼務しているが、副館長に見合う70万円ものボーナスが入っていたのだった。つまり、皆それぞれのボーナスは年収に匹敵する大金であった事を言えば、驚くのは当然の事だ。


「まあ、あんまり皆も喜んで居れんじゃろ、年収が増えれば、独身は税金を取られる率が高うなる。厚生年金や、健康保険の掛け金も上がる訳じゃきん、ここで考えて欲しいんは、この静寂の杜ちゅうんは、皆が自覚を持って自分が経営者じゃ思うて欲しいんよ。もうちょっと先には、各施設毎の独立採算制にするつもりじゃ。その辺を明後日には、各自レポートを提出して欲しい」


 出す物は出す。しかし、厳しいぞ、沢木の姿勢がそうである。頑張った者は評価される。経営者がその利益を取り込むのでは無く、公平に分配しようじゃ無いか。だから、自分達は老若男女問わず、経営者として、どう静寂の杜に取り組んでくれるのか・・と。沢木は、次なる大胆な経営方針をこの時打ち出したのである。霧島も同様である。十分に研究時間は提供しよう。しかし、その上で、鉱物館をどう今後経営者として考えて行くのか。微温湯ばかりでは静寂の杜の今後は甘くないぞ・・沢木は優しさの中に厳しい経営哲学をこの時示したのだった。

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