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伸びる若芽

「あ、名乗っても居りませんでした。失礼しました。私はこの静寂の杜のオーナーをやってまして、沢木と申します。館長は今から来ますので。ところでご質問を先に受け賜りましょうか?」

「オーナーさんでしたか、これも失礼。鉱物学に実にお詳しい方とお見受けしますが、どこかの大学で?」

「あ、いえ。私は素人の収集家に過ぎません。ほんでも、多少は鉱物の知識もあります」


 頷きながら、老紳士。


「そしたら、先程の別子銅山の黄銅鉱ですが、非常に興味を持ちました。どの坑道、坑口から出たものでしょうか」


 沢木がにこっとした。


「やっぱり、只者では無いと思っていました。あの黄銅鉱は、別子銅山歓喜坑より、100メートル入った、天井にあった石です。特別に入坑許可を貰い、剥ぎ取りました。大きな標本を殆どの者は興味を持つのに、あの黄銅鉱に眼が止まるとは、余程であると思います。これは、別子銅山富鉱帯における分泌脈のはねこみ鉱です。」

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