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伸びる若芽
「おい!」
突然薄暗くなった道を歩いていて、イクちゃんが呼び止められた。
「え・・?」
自宅から100メートルも無い商店街の角の街灯の所だった。
見たことの無い顔で、イクちゃんはきょとんとした。
「お前、花田ちゅうんじゃろ?」
「ほうやきんど、お前こそ何かいの、突然に」
初対面の相手に、お前呼ばわりするこの非礼な男にイクちゃんはむっとして同じく相手をお前と呼んだ。年格好からして殆ど変わらないように思えた。男はネクタイ姿で、サラリーマンのように見えるが・・。
「何遍か顔は見とったきん、わしはお前を知っとる。ほな、単刀直入に言わせて貰うわ。わしは、美香の兄じゃ」
「え?・・美香ちゃんの?」
イクちゃんが少し驚いた。




