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日々
実は、この薬とは香月が愛用しているからと言っても、特別で最先端の治療薬でも何でも無い。皆が知っている日本古来のもので、鯉の肝臓・・つまり苦玉と言われるものであった。
12時少し前になってヤマチューが顔を出した。やはり鉱物館の資材を運んで来たのである。それは、沢木が個人で依頼している標本箱の入荷であった。先に述べた善さんが一時居た、木工所の初製作である。その為に沢木がこの日ここへ顔を出していたのだった。
「おう・・ええ出来じゃ。細かい細工しとるわ。そなんせんでもええちゅうたのに、善さんの影響かのう・・」
「えらい力入れて作っとったですよ。洋司さんのウキも、何やら売り出すちゅうてえらい気合が入っとりました」
「おう、よおちゃん浮きか、あれはのう、微妙なバランスがえんじゃわ。自重があって波に乗るし、水流があっても流れに乗るし、釣りメーカーも一時本気で作るちゅう事になっとった。ほやきんど、よおちゃんは、趣味なんじゃきん、ほなん事せんちゅうて断ったんよ」




