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陽射し
沢木が松本宅へ訪れたのは、それから1週間程経った午後だった。にいにい蝉がこの朝は良く鳴いていて、暑くなりそうな日であった。
沢木は、ユニック車で訪れていた。
「おいやん、この中に2羽入れてつか」
それは、もうあらかじめ造ってあったかのようで、1メートル少しある鳩舎が、そのユニック車に積んであった。
「こりゃ、たまげた。じゅんはこなな鳩舎造っとったんかいの・・」
松本が笑う。
「これは、なんちゃあ、おいやんのとこ置いて貰うても良かったんじゃきんどな。知り合いの大工に頼んだんじゃ。取り敢えず2羽入れて見る。そこから、何が見えるんかは、わしも分からん。天才博士やったら、何か考えつくかも知れんが・・」
「ふ・・お前が考えつかんのやきん、誰も同じじゃわ。そやきんど、丁度ええ大きさじゃ。この位の大きさやったら、鳩も動ける」
松本が2羽を入れると、この瞬間から2羽の動きが対照的に見えた。そわそわと落ち着かない白虎号、泰然自若として動かない松風号。全く違う2羽の気質が感じられる。




