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美香の苦悩爆発
美香の心はすっと晴れて行くのだった。この能力こそが、由香里の持つ不思議な力だった。
その晩、美香は自分の意思で、父勇太郎に電話をした。母親に会った事。そして適う事なら一緒に住みたい。佐伯家にはもう戻るつもりが無い事を・・流石に勇太郎も娘からの電話には、
「分かった・・必要なもんあったら、言うてくれ。用意する」
その言葉を、沢木が言わせたものでは無い事を分かっている勇太郎は、電話を切った後、少し目頭を押さえた。裕福になる事、それが家族を幸せにする事。佐伯勇太郎は時代に生きた経営者。しかし、沢木は全くそれとは、経営学を異にしていた。混じ合う事の無い経営哲学を持った二人が、時代の流れで一瞬接点を持ったものの、それは所詮縁の無い空握手だったのである。




