美香の苦悩爆発
「智子が・・着替えを・・ええ・・ええ。配慮が足らんかったですわ。それはお詫び致します」
「昨日も言うた筈ですわ。勝手に家を出て行った。普通の親なら子供の言い分も聞いてやり、成人しとるとは言え、未だ20歳の娘。親として話を出来る時間もありゃあ、どなん事も修復可能。ほやきんど、着替えをさっさと渡し、何も知らんうちとこの従業員にそれを知らしめる。又、戻って来るなと言わんばかりの行為を、わしには許せんのですわ。佐伯さん、前妻の前島奈津美さんは、美香ちゃんと一緒に住みたい言うてます。失礼ながら、今日会うて来て話させて貰いました。どなん法律上取り決めがあるんか知らんきんど、血の分けた母娘が一緒になる言うんを、あんたには止める権利は無い。まして、全く娘の気持ちも理解出来んような経営者とは、わしは決別する。従業員の心も理解出来ん人じゃ言う事やきんな!」
実は、もっと前から美香の事が気になっていた沢木は、美香の実母の事を調べていたのである。しかし、それを何度も言うように、全く他人が口を出すべき問題では無い。もしもの時の為に沢木は黙っていたのだった。沢木の動きは加速する。それは一刻も猶予の無い矢継ぎ早の事だった。その晩、沢木は佐伯の呼び出しを受けて、彼と松山にて会っている。丁度完成近いゴルフ場の一室で。




