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車椅子の少女
「ほんでな、中学の時にちょっとあっちに走っとった紀美子居ったやろ?」
「あー・うん。ちょびっと怖かった娘」
「もうな、2人目の子産んだらしいわ」
「へぇーっ・・」
若い女性達の話は尽きない。彼女達は夕刻まで佐々木家で過ごして、帰って行った。
その友人達の帰りを窓越しから眺める父親・・
そんな家族に少し変化が起きたのは、この夜であった。
由香里の心境に変化があったのか、それは分からない。
「なあ、お父ん」
「えっ!」
突然背後から由香里に声を掛けられ、はっとして振り向く父親。