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静寂の杜
これが「閃きの中で・・」のテーマなのであった。
由香里が真の作家としてデビューする日はそう遠く無いような気がした。沢木のやり方は、大手出版社のような広告費を一切使わない。市場に出す事で、その作品の真価、実力を直接問おうとしたのである。どんな優れた文章力で、或いは文学的表現に優れ構成されたものであっても、人はそれだけでは感動、共感をしない。一部の学者や、評論家の高い評価を受けたからと言って、それが多くの人に共感を呼ぶ作品とはならないように、沢木は最初から視点をそこへ置いて無かったのだ。
そして、釣り雑誌まで買収した事によって、又周囲が騒がしくなって来た。
「えっ!じゅんさん、FF買収したん?」
釣り仲間・競翔仲間の谷野が洋司に驚いた顔で聞いている。
「ほうよ、谷やん・・わしゃ、またまたびっくりしたぞね。ははは」
「どなな雑誌になるかいのう・・あの人のこっちゃきん、ありふれたもんには絶対せんじゃろきんど」




