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陽射し
夏休みに入った。三島勇次が、手術・治療の為に名古屋まで行くと言う。由香里には、勇次が親戚の家に行くのだと伝えられて居た。
洋司と沢木は、最近又近くの新波止にて、チヌの落とし込み釣りにハマッているようで、2人で出かける事が多くなって来た。洋司は、休みになれば、鳩小屋の掃除を良く手伝ってくれるようになり、几帳面で手先の器用な彼は、由香里の為に色々な工夫を鳩舎に凝らしていた。
由香里の治療については、冬に再検査する事が決まっていて、希望を繋ぐ治療は2年以上は掛かるだろうとの事。しかし、それは淡い希望では無く、勇次同様に着実に一歩前進出来るものであった。元々明るい娘であったが、この希望は新たに佐々木由香里と言う女の娘をより輝かせるようになっていた。その変身ぶりは、支部長となった、妻鳥にも感じていた。
「どないしたんぞ?由香里ちゃん。ええ事あったんか?」
自分の妹同様に、妻鳥も又由香里に対して親身になって相談出来る兄貴分になっていた。この短い時間にこうまで周囲を変えて行く何か・・それはこの佐々木由香里を取り巻く全ての事象が歯車のようになって回転して行っている・・そんな感じを沢木自身も受けていたのだった。




