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静寂の杜

「ふふ・・ちょびっとだけで」


 由香里が手の中に餌を少し入れると、たちまち数羽が啄ばんだ。その中でも全く孤高を貫き、閃竜号だけは近寄ろうとせず、泰然自若で鳩舎の中にじっとしている。

 佐々木鳩舎に戻り、以前と違い、他の鳩とは諍いを起こす事は無いが、かと言って他の鳩のように群れを作る事も無い。体の大きい輝竜号を中心とする佐々木鳩舎の序列は定まっているようで、その中にあっては浮いた存在だ。しかし、その存在感は高い。

 少し鳩舎に居て、初夏の日差しは思いの他強く、クーラーの利いた階下へ再び由香里は降りて行く。

 イクちゃんは既に帰り、代わりに一が来てヤマチューと話をしている。


「お、こんちわ。由香里ちゃん、ちょっとこっち座らんな」


 一が言う。ヤマチューの隣に由香里は座った。


「今な、ヤマチュー君に、バイクショップのリフォーム頼もか思いよったんよ」

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