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静寂の杜
喫茶店の最奥のテーブルで美香が由香里に、
「え・・とうとう家出て、寮に?」
「うん。うち、もう耐えれん。家に居りとう無い」
少し前より更に深刻度を増しているようだった。
「ほんで、お父さんは?」
「勿論、猛反対。なんぼ話したって交じわう事も無い」
美香の憮然とした表情からも読みとれる。それは、昨夜も父親と口論になったようだ。
「オーナーに言うたん?」
「うん、言うた。即答はしてくれんかったきんど、考えて見る言うて。由香里、今晩泊めて」
「ええよ。ゆっくり考えり・・」
どうしたものかと、由香里も思ったが、自分では到底解決出来ない問題である。そこで、イクちゃんが喫茶店に来ているかを確認する為に、午後になって由香里の部屋でレコードを聞く美香を残し、階下へ。




