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希望の光
京西が、
「それよりね、沢木さん。先程から香月博士が、貴方の事をしきりに天才ですって言われてますけど、どんな勉強をこれまで?」
沢木が眼を丸くした。
「いやいや・・勉強なんて、わしは見るもの、興味あるものが全て自分における勉強じゃと思うてますきん。何で・・と思うた事や、やりたいと思うた事は投げ出さんと執念深く追求するんですわ。いわゆるB型気質ちゅう奴で、天才や言うて貰うんは、こなな世界的な大学者さん達を前にして恥ずかしいですきんな、わはは」
洋司が言う。
「じゅんさんは天才ですよ、確かに。わしは、釣りの弟子ではありますきんど、この方は自分が納得するまで釣り場、魚を観察しよる。そこで、魚がどなな動きをして、どの時間に餌を食うか・・習性を知っとられるんです。無数に魚が居っても、そこの主しかターゲットにせんのです。群れは必ず大きな雌を中心に行動しとると言うパターンを掴んどるんです。名人・・天才ですわ、やっぱり」
香月が愉快に笑う。




