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周囲の変化

「義父が、是非お話したい事があるそうです。一端電話を代わります」


 久し振りに聞く、温和で温かいその姿を想像しながら、沢木は待った。

 川上氏の声が聞こえて来る。


「沢木君・・私は、君のような競翔家を深く尊敬する。敢えて言わせて貰う。君は崇高なる愛鳩家だ。君の根底に流れるものは、動物に対する温かい深い愛情だと思う。私達はともすれば、競翔家であり、研究者であり、トレーナーである。しかし、揺るぎ無い君の姿勢こそは、本当の意味での競翔家の姿であると言えるだろう。礼を言うよ、有難う。一男君は、言葉に出来ない位君の気持ちを感じて、ずっとさっきから泣いているんだ。沢木君・・君は、稚内当日帰還の夢を自分自身では追えない・・そう言うんだね。これ以上は」


 沢木の胸も詰まった。究極の夢想と彼は言う。敢えて挑戦すべき事なのか、或いは育てる事が愛情なのか、鳩の苦しむ姿を見たくない沢木の心が透けて見える。その究極の所で香月も嘗て悩み、自分も成長する事で乗り越えた。それは、何かに導かれるように。だが、それは紫竜号と言う古今東西出現せぬであろう、怪物鳩が誕生したが故の事。その閃竜号に、紫竜号に並び得る資質が備わっているのか・・沢木は自分の失った、すずらん号の幻影を追い続けようとした姿に気付いた。そして、それは、彼がもしすずらん号を現役で使翔していたとしても、思い止まったであろう事を香月は悟ったのだ。

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