周囲の変化
「おい・・おい・・どなんした?花山君」
嗚咽しながら、花山は先程屋上に上がって来た事、そして電話があった事等を告げると、沢木の顔が曇った。
「ほうか・・やっぱり、香月博士はわしの事を・・」
花山がびっくりした。由香里がしょっちゅう話している、あの世界的な動物学者の香月博士だったと言うのか、先程の電話は。卒倒しそうになった彼女だった。
「花山君、今日の事は誰っちゃに言わんといてくれ、の?年甲斐も無う、昔の事思い出してちょびっと涙が零れた。そう言うわし見て、花山君、心配してくれとったんじゃの?有難う、済まんな、気遣わして」
優しいオーナーの言葉に、花山の胸が又きゅっとなった。
「もう5時半じゃ。ひょっとして今日鳩が戻んて来るかと思うては見たもんの、それは無理じゃった。花山君、今日はヒデ君とデートじゃろ?早う帰り」
「はい」
少しほっとした花山であったが、競翔家の一面を見る事で、ヒデ君との距離がぐっと近くなった気がした。こんな優しい大きな心を持つ競翔家であるならば、きっとオーナーと同じ。自分に厳しく、人に優しく接する事が出来るだろうと思った。花山の1日は、人生においても、大きな、本当に大きな1日になりそうだった。




