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周囲の変化
途端に顔を歪め、苦しそうな表情で返答に窮する競翔家達。
毎度言うが、競翔鳩は単なる人間の道具では無いのである。自分のスタイルを語るのは自由であるが、競翔に参加すると言う事の飼育者、競翔家と姿勢を常に沢木は問うのである。
そんな言葉を、目を細めながら、松本は聞く。
命を賭けて戻って来る鳩を、待てないのならせめて敬意を表し、そして、自分がこれまで積み重ねて来た事に責任を持ち、労わりの気持ちを持って夕刻になっても、帰宅を早めて出迎えよう。自分が待つ、待てると言う時間を捻出出きるのであれば、鳩舎で待つ・・それが競翔家の姿勢と言うものだ。
沢木は、機会ある毎に啓蒙を続ける。
そして、この日、妙にそわそわして由香里は落ち着かなかった。
「どしたん?由香里ちゃん。えらいそわそわしとるのう」
とりが、言う。朝から由香里の態度は少しおかしかった。




