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夢に向かい

 沢木が、


「わしは、ちょびっと楽天的な思考をしとったんかも知れんです・・何故なら、稚内GNレースの行なわれる5月の後半には、海上に霧が発生する可能性があります。その霧は、むしろ閃竜号にとっての優位と思うとりましたが・・半面、それは危険を生み出す陰陽があった・・その仮説、恐らく香月博士の言われる通りでしょう。なら、帰舎時間は、11時半かも知れんです」

「11時半ですか!・・それは早いですね」

「ええ・・閃竜号はすずらん号さえ飛び越えてしもうたと言うんか・・」


 重い口調に変わった沢木に、香月は、


「いえ・・これも沢木さん、仮説に過ぎませんが、鳴門コースの鳩の一群に、やはり跳び抜けた鳩が居ると仮定するならばどうでしょうか?例えば、恵まれた体躯があり、このような天候下においても悠々と飛び帰る資質を持ち得た鳩です・・いえ、鳩達かも知れませんし、磯川パイロン号系は、こう言う天候には滅法強いですよ。それに分速1000メートルと言うのは、この悪条件下では分速2,000メートルにも匹敵するでしょう」

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