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夢に向かい

 磯川が言うと、香月も、


「でしょう?磯川さん。沢木さんは全てのジャンルに精通され、又類稀なる才能をお持ちですし、食通でもあられますから」

「皆さんが、沢木さんに頼る気持ちは分かりますよ。でも、我々もそうでしたが、嘗ての東神原連合会がそうだった。香月君は、あらゆる方面で信頼され、頼られ、そして倒れるまで頑張ったんです。同じ事が言えます。でも、その中から小谷さん、佐野君が現れ、頭角を現し浦部君が出て来た。器が出来たら、自然と人は成長して行くと思うんです。今、沢木さんは、その器を作られています。これからは、周囲が伸びて行く事でしょう」


 その言葉に、ヤマチューの顔が引き締まった。急速に伸びんとする若手競翔家であり、沢木をして隠れた才能が顔を出したと言われる男。その重い言葉に、少し胸がジンと来た。

 ヤマチューが連れて来た2羽の鳩。熱心に磯川が触診した。輝竜号から・・鋭い視線は、天才と言われた競翔家ならではのもの、定評ある競翔鳩の鑑定・分析は鋭い言葉になって口から放出される。


「この体躯、羽毛、主羽・・黒竜号とは又少し違いますね。副翼の巾もかなり広いし・・筋肉も柔らかい・・いや・・稀に見る素晴らしい競翔鳩です。これは、勢山系の特徴をかなり受け継いでますね、かと言って夜風系の遺伝子も、充分に受け継いでいます。久し振りに見たなあ、こんな競翔鳩。落ち着いた表情。澄み切った瞳・・知能も高い鳩でしょう。隻竜号を思い出しますね」

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